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人命や財産を守る戸建て住宅の防犯対策

住まいと暮らし
2023.4.14

戸建てで増える侵入窃盗犯罪、強盗に強い家の特徴は?

戸建て住宅を狙う侵入窃盗というと、住人が留守の間を狙う空き巣などをイメージしがちですが、昨今増えている侵入窃盗は、住人が居ても侵入し、時には暴行や脅迫など実力行使によって金品を奪うケースも見られます。このような事件に巻き込まれないために、どのようにすればよいか、今一度、ご自宅の防犯対策を点検してみましょう。

侵入犯罪の主な3つの手口

戸建てや集合住宅に侵入して家内にある金品を盗む犯罪を「侵入窃盗」といい、次の3つの種類があります。


空き巣 :住人が留守にしている間を狙うもの。

忍び込み:住人が就寝中の間を狙うもの。

居空き :住人が家内にいて家事をやっている最中など隙を狙うもの。


強盗は侵入窃盗が発展したもので、暴行や脅迫を用いて他人の財物を無理やり奪う、もしくは被害者の知らない間や被害者が差し出したものを受け取っても強盗罪となります。

警察庁の調べでは、侵入強盗の認知件数は、令和4年には住宅や店舗などを含めた全体で290件と前年比でマイナス2.4%となっていますが、住宅を対象とした侵入強盗は、令和4年は129件で、前年比で20.6%も増加しています。さらに家人に危害を加える身体犯の侵入強盗の認知件数は、令和4年は100件で前年比16.3%増加しています。

このように、住宅での防犯対策は一層欠かせないものとなっており、とくに昨今の侵入犯罪に対しては、狙わせない、絶対に敷地内に侵入させないことが重要なポイントになってきます。

狙われやすい家の特徴

狙われやすい家の特徴

侵入窃盗に狙われないために、どんな家が狙われやすいのかを考えてみましょう。侵入者は、必ず下見をするといわれますが、不審者が現れないか四六時中見張るわけにもいきません。そこで、自宅を侵入者の目でチェックしてみます。狙われにくく、侵入されにくい防犯に優れた住宅にするためにも、客観的な自宅の防犯対策を自己診断してみましょう。

【自宅の防犯度チェックポイント】

外からの見通しはどうか。

侵入者は人の目を嫌います。公道などから見える場所からの侵入は当然避けたいはず。ドアや窓が庭木などの影になっていないか、ベランダなどに腰壁など死角がないかをチェックしましょう。

足場になるようなものがないか。

塀があってもそれを乗り越えるために利用できるゴミ箱などがあったり、二階のベランダに上りやすい空調設備の室外機、不要な梯子などがそのままになっていたりなどしていませんか。

夜間は暗がりや物影にならないか。

夜間、もしくは昼間でも不審者が隠れやすい暗がりや、住宅周囲の照明のない場所などがあればチェックしましょう。

防犯設備は頑強か。

窓についている格子が簡単に外せるものや壊せるものではありませんか。また、鍵や防犯カメラ、防犯ライトなど、正常に使えているでしょうか。鍵はダブルロックになっているでしょうか。故障していませんか。



以上は、自分でできる防犯チェックの一例です。少しでも不安があれば、防犯のプロである鍵の専門店などに確認してみましょう。また、チェックする時点からプロに協力を仰ぎ、専門家の目線で診断してもらうことも効果的です。

「防犯の4原則」で狙われにくい家に

「防犯の4原則」で狙われにくい家に

自宅の狙われやすい部分、防犯の穴を見つけたら、次にやるべきことは防犯設備を強化し、足りない部分を補完することです。「防犯の4原則」と呼ばれている、犯罪者が心理的に嫌う要素「時間」「目」「音」「光」を効果的に組み合わせて、不審者が嫌がる状況や侵入窃盗犯や強盗に狙われにくい家にしていきましょう。

この防犯の4原則を組み合わせた対策を行うと、たとえば侵入に要する犯行時間が長引いたり、それによって人目に付きやすくなったりと、犯行そのものを抑止する効果も期待できます。具体的な対策の例をみていきましょう。

1ドア2ロック(ワンドアツーロック)

玄関同様に窓などにも補助錠を付け、鍵を複数設置する「1ドア2ロック」などを検討してみましょう。侵入するまでの時間を長くすることで犯罪抑止効果が高まります。

音や光で威嚇するセンサーを設置する

センサーライトや音センサーの設置も有効です。音や光は侵入者への威嚇にもなりますし、周囲へ異変を知らせるサインにもなります。また、踏んで歩くとジャリジャリと大きな音のする「防犯砂利」も効果的です。

足場になるものや死角を作らない

侵入者は周辺の構造物を利用し、上階からつたって下りてくる「下がり蜘蛛」と呼ばれる手口を使ってくることがあります。足場になるようなものや、隠れ場所になる死角がないか確認し、周辺に不要なものは置かない、もしくは都度片付けるようにしましょう。

カメラ付きインターホンや防犯カメラを設置する

一般的に侵入窃盗犯は「事前に下見をする」傾向にあることは前述しましたが、その際に顔や容姿を見られることを嫌います。インターホンは録画機能が付いているモデルが多数流通していますし、防犯カメラも顔や容姿を記録する「目」として有効です。

窓自体の防犯性を高める

窓のガラス破り対策として、ガラスを割れにくくする「防犯フィルム」や「防犯ガラス」は代表的ですが、室内側に窓用防犯格子を取り付けることも有効です。窓用防犯格子の場合、視覚的にも抑止効果が高いため安心して換気・通風も行うことができ、犯行を諦めさせる効果も高まります。

※ガラスにワイヤーが入った網入ガラスは防火性と飛散防止を目的としたもので、防犯用ではありません。



以上のように防犯対策はさまざまありますが、最も大事なのは日頃から防犯意識を持ち続けることです。対策して終わり、という考え方では油断を生みかねません。つい窓やドアの鍵を開けっぱなしにしてしまったり、いつの間にか死角や足場になるものができてしまっていたり、機器の不具合に気づかなかったなど、ほころびの発生につながります。定期的なチェックを行う事により、設備に劣化や破損がないか、耐用年数を超えていないかを確認するなど、対策と併せて継続的なメンテナンス・見直しを行うことをおすすめします。
防犯度チェックポイントや対策例を参考にご自身でチェックを行い、時としてプロのアドバイスを受けることで、安全安心に暮らせる我が家の防犯環境を構築しましょう。

※「錠」と「鍵」の表記について
錠前(錠・ロック・lock)は、扉などに取り付けて締める金属、機械的または電子的な部品をいいます。鍵(かぎ・キー・key)は、錠前を施錠・解錠する(操作する)ための器具をいいます。ここでは便宜上、日常的な会話に合わせて、鍵と錠前をまとめて「鍵(かぎ)」と記載している場合があります。